旭屋ジャーナル

「人から人へと、気持ちが紡がれるような紙箱をつくりたい」。昔も今も、その想いこそが旭屋のアイデンティティ。営業も、生産も、設計も、管理も。ここでは箱づくりに関わるすべてのスタッフが、 “職人”だ。

#数字で見る旭屋

ASAHIYA in Number.

数字で見る旭屋

創業70

社員の離職率2%

年間2500の試作数

44,000オリジナル箱を商品化

800のお客さまが全国にいる

年間の見積もり依頼は4,800

取り扱う紙は500以上

今ある在庫数は560,000

100

#はじまりの物語

True history of Asahiya.

手をかけて、
心をこめて。
紙の箱と歩み続けて70年。

1953年。長崎市内で産声をあげた箱屋「あさひ堂」から、旭屋の歴史は始まりました。糀屋町にあった老舗の箱屋「庄林(しょうばやし)」に弟子入りして技術を身につけ、八幡町で独立開業したのが、先先代である吉岡敏夫氏。当時の長崎は、カステラをはじめとするお菓子屋さんからの貼り箱需要が高く、あさひ堂も創業時は和菓子の紙箱がメインでした。家族経営から小さく始まった当社ですが、1976年に時津町に移転してからは、徐々に従業員の数も増加しはじめます。

一方そのころ、長崎の工芸みやげとして「べっ甲」の需要が爆発的に増えだすと、同業他社がプラスチック成形の横展開をスタートしはじめました。そんななか当社は、紙の箱のもつ可能性と特性を最大限に生かす貼り箱の魅力を伝えることを、頑なに守り続けます。1988年にジュエリーケースブランド「CHALAZA(カラザ)」の展開を開始してからは、1993年に「株式会社 旭屋」へと社号を変更。そして翌年、お菓子のギフトケースブランド「ALLES(アレス)」の展開を開始します。このジュエリーとお菓子のギフトケースブランドは、現在も旭屋の看板として多くのお客さまに愛されています。

旭屋は、九州、長崎県
時津町にあります。

長崎県の南部に位置し西彼杵郡に属する時津町。
豊富な自然と街の便利さの両方を持った立地ということもあり、のびのびと便利に暮らせる町です。時津港周辺は広く埋立が行われおもに工業地に利用されています。そんな時津町の時津湾に近いところに旭屋はあります。

#職人対談

The Artisans cross talk.

箱づくりの世界は、ずっと深く、面白い。
まだまだ旭屋には、できることがあるはずだ。

株式会社 旭屋営業部 課長大坪 晃史
株式会社 アルジュナアートディレクター亀井 樹世さん

長崎でブランディングデザインを行うデザイン事務所「アルジュナ」さんとの付き合いは約10年にのぼる。県内外で多くの受賞歴を誇るパッケージ制作の過程において、「旭屋の職人さんには絶大な信頼を寄せてます!」とアートディレクターの亀井さんは嬉しそうに語った。前身から数えて創業70年を迎えた旭屋。そこに生きる職人たちが、これから向かう道とは。まだ誰も知らない、旭屋の本音に迫る。

職人だから、箱づくりに対して
満足しちゃいけないと思ってる。

(大坪/旭屋)

亀井

お付き合いはその前からあったけど、絶対獲りたいと思って応募した「北海道パッケージデザインコンテスト2017」でグランプリをいただいたとき、その紙箱のサンプルをお願いしたのが旭屋さんでした。

大坪

そうそう。熱量もあるし、デザインもいいし、いつか(アルジュナさんは)有名になるとは思っていたけど、思ったより早く売れっ子になったよね(笑)。

亀井

ありがとうございます(笑)。それから初めて商品カタログを刷新させてもらうにあたって、もともとあったアイテムに「イラストレーターさんをいれた商品をつくりませんか?」だったり「この丸形を生かしてハット帽にしませんか?」だったり、色々提案させてもらって。

大坪

うんうん。

亀井

「もっとかわいい紙を使いませんか?」「意味のない色の組み合わせやめませんか?」「これ、どのくらい売れてるかわかってますか?」とか、とにかくいっぱい(笑)。

大坪

もうね、「え〜? それ言う?」って感じよ(笑)。うちも外部の方とタッグを組んでやるのは初めてだったから。でも、こういう本気のデザイナーさんとの濃いやりとりがあると、うちの職人たちも「やってやろう!」と士気が上がってくる。結果、あたらしい商品がいくつもできた。特にカタログを新しくしたときは、販売代理店さんからの評価がぐっと上がって。それによって、うちのお得意さまの展示会のデザインを担当させてもらったりね。お客さんの“その先”のお客さんにも喜ばれることにつながったんですよね。

亀井

ええ。

大坪

「よそと違うモノをつくろうよ」っていう気概というか、ポテンシャルのようなものは、うちは昔からあるんです。

旭屋の職人さんたちって
“底力”があるんですよね。

(亀井/アルジュナ)

亀井

それわかりますね。旭屋さんは貼り箱のオーダーメードを受け付けてらっしゃって、「こんな箱で、なかにこんなモノが入って、こんな雰囲気のモノがつくりたいなあ」というこちらからの細かいオーダーを、すぐ図面化してくれるんですよね。

大坪

基本的にはお客さまのご要望を聞いて企画に落とし込んだあと、設計部がパッケージの設計と試作の製作をしますね。

亀井

年間、どのくらいの試作をつくってらっしゃるんでしたっけ。

大坪

のべ2500個ですね。これまでつくった箱の種類は約44000種です。とにかく、経験値がものすごいですから、うちの職人たちは。うちには独自の生産管理システムもあって、そのデータベースをすぐに引き出すことができるから、細かいご要望にも正確に、スピーディーにお答えができるんですよね。

亀井

そう。試作をお願いするとき、一見無理難題に見えることでも、あらゆる工程にいる職人さんからしっかりフィードバックが返ってくるんですよ。ああ、ちゃんと「底力」があるなあって思います。あと、とにかく在庫数が半端ないですから。

大坪

つくってきた量が違いますね。でも正直、一般のお客さまからよりも、デザイナーの方からくる要望のほうが大変ですよ(笑)。でも、そのたびに「なんとかしよう」って思って挑みますし、実際できたときの達成感があるんです。

亀井

そういう、私たちと同じテンションで挑んでくれる職人さんのいるメーカーさんを探している方は多いと思います。

大坪

一回“咀嚼”できたら、うちは大丈夫になる。全部内製でやっているから、基礎体力もある。昔はもっと、お客さんからの「こうしたい」「ああしたい」という要望に応えてきたと思うんですよね。そうして積み重ねてきたものがある。でもいまもデザイナーさんと新しいことに挑戦したり、刺激的な仕事を一緒にやれるのはうれしい。

亀井

ええ。

大坪

うちの職人たちのあるべき姿って、こうだなあって思うんです。箱づくりに対しては、やっぱり満足することがあっちゃいけないなって思ってるんですよ。先輩たちがそうだったように、チャレンジし続けないといけないなあって。

亀井

お客さんとの関わりによって、職人が育っていく。

大坪

そう。若手からベテランまで職人がいるなかで、お客さんとのやりとりによって育てていただいているのは事実ですね。

最後の最後まで人をしあわせにする。
そういう箱をつくれたらいい。

(大坪/旭屋)

大坪

正直ね、カタログに載せた新商品のなかには、売れてないものももちろんあります。でも、僕らはその商品を生み落とした責任をとらないといけないねって思うんです。「ものづくり」をポジティブな気持ちでやり続けるのは当然。これからは、その先もしっかり見据えていく。周知させていく。僕らはずっとクロコで、「前に出るべきではない」という気持ちがあまりにも強かったから。それを少しずつ変えていかないといけないねって。

亀井

コロナで止まった3年間がありましたからね。

大坪

そう。でもね、やっぱりみんなもっとよくしていきたいって思いがあるから。ずっと縁の下の力持ちだけでもいけない。カタログでも、ウェブでも。もう少し前に出ようよって決めたんです。これは一大決心なんですよ(笑)。

亀井

長崎って、お祝いごとに紅白のかまぼこを献上する文化がありますよね。いわゆる化粧箱みたいな美しい紙の箱って、日本人独特の文化だなあって思うんです。そういうことを考えても、やっぱり旭屋さんのつくる貼り箱って「特別なものをいれる」箱だなあと。

大坪

すぐに捨てられるような消耗品ではないですよね。

亀井

うん、そう。特別なものをいれる箱ってイメージがあるから。気持ちを伝える、想いをのせる。そんな場面にぴったり。たとえばジュエリーなんかはわかりやすいですよね。中のプレゼントと箱が一体化しているから。あの、「パカッ」て空ける動作も含めて、やっぱり貼り箱っていいんですよ。

大坪

そうね。たしかにうちの箱が、誰かの、人生を変えてるかもしれんよね。

亀井

そう。たとえば「もち吉」の缶とか「鳩サブレ」の缶とか。絶対に捨てないですよね。部屋の隅にずっとあるような。このあと「何をいれようかな?」って考えるような、そういう運命を担ってる箱ってあるんです。旭屋さんの箱もそうだなって。たぶん9割、贈りものになってる箱だから。

大坪

そもそも破棄されることを考えていないので。贈る人も、贈られた人も、しあわせになるような箱。ここは絶対これからも大事にしていきたい部分です。だから最後の最後まで、人をしあわせにする箱づくりができたらいいなって思いますね。

モノづくりの探求って終わりがない旅ってことなんやろうか?

そうかもです。それにしてもその言葉、カッコよかですねえ

#未来の職人たち

future artisanS.

知れば知るほど箱の世界は面白い!

No.1倉光  哲也

「知れば知るほど、箱の世界って面白いなあと感動する毎日なんですよ。いまは修行中で、営業として独り立ちしてすぐお客さんと直接やりとりができるように、じっくり育てていただいている最中です。 “モノを売る”というより、お客さんと一緒に“モノをつくる”のが僕らの仕事。先輩方のように、お客さまに寄り添う箱づくりを大切にする営業部員として活躍したいです」

美しい箱をつくる職人になりたい。

No.2松尾  玲菜

「説明会に参加したときに感じた社内の雰囲気のよさや、“箱をデザインできる仕事”の面白さに惹かれ志望しました。設計は、製造と営業の中間の部署。どちらの知識も身につけておかねばなりません。どんなにベテランになっても、多方面からのオーダーにこたえるべく努力されている先輩たちが目標。そしていつか、自分にしかつくれない“美しい箱”をつくりたいです」

経験豊富な先輩たちが目標。

No.3古川  菜々子

「小さな頃からモノをつくることが好きでした。ベーシックなものから変わったものまで色んな箱をつくれることに魅力を感じ、この世界に入りました。修行中の身ですが、わからないことや難しいことがあってもすぐに相談できる環境がありがたいですね。もっと経験を積んで、先輩たちが手がけるような難しい箱に挑戦しながら、オリジナルの箱をつくってみたいです!」

安全で健康に作業できる環境を。

No.4山崎  大地

「13台の生産ラインで働く方の管理・調整や機械のメンテナンスなどを担当しています。高品質なものを効率的に生産できること、お客さまに喜んでいただくことをバランスよく考えていくことが仕事です。たくさんのパートさんとともに在る部署ですので、全体をとおしてツラい思いをする人がいないように、常に安全で健康に箱づくりに取り組める現場を目指しています」